アニメができるまで

このページでは、CACCの自主制作アニメがどのように制作されるのか、その過程を詳しく紹介していきたいと思います。

アニ研の活動をより知ってもらうと同時に、個人やグループでアニメの自主制作をしようと考えている方々の参考になれば幸いです。

企画・原案

まず、どのようなコンセプトの作品を作るか企画を立てます。

共同制作や新入会員制作などでは、それぞれ原案を持ち寄って議論し、そのどれかを採用します。有志で作る作品は、たいてい原案を作った人がこういうのを作らないかと参加者を募り、企画が始まります。



脚本

原案をもとに脚本を用意します。具体的な場面と展開、キャラの台詞を文字に起こす作業です。共同制作では特に形態が決まっているわけではないですが、ほぼシナリオがある長めの作品になるので、そうなると脚本の段階がとても重要になります。

PV風のアニメのなどでは、必ずしも脚本は作られず、コンテからスタートする場合もあります。

 



キャラクターデザイン・美術設定など

登場人物や作品世界の風景のキービジュアルを決める工程です。美術というのは、アニメにおける背景画のことです。美術設定は作品によっては、ロケハンをしに行って資料を集めることもあります。

 

共作のような人数の多い作品だと、作画監督や美術監督といったセクションごとの責任者がおかれますが、基本的にこのような第一人者がこれらの設定を作ります。多人数が関わる制作ほど、共通認識をつくるためにこの初期設定が大切になってきます。

 

少人数の制作では、原案からこのあとの絵コンテまで、発起人が一人でやってしまうのが多いとおもいます。

 

キャラデザと美術設定は、最終的に両者が合わさったときに、不自然に浮いてしまわないように色合いを考えます。したがって、この段階で色合いを調整することは、各シーンの撮影処理後の印象を決めることでもあります。



絵コンテ

絵コンテとは、脚本をもとにして映像にするときの設計図を作る作業です。映像の構図とカメラワーク、そのときに言われる台詞、さらには効果音や音楽のタイミングなどの指示を作成していきます。

 

映像作品はカメラが切り替えごとに、その映像の断片をカットといって、カットのつなぎ合わせでできるわけですが、コンテはカットを割る作業ともいえます。



作画

コンテをもとに、いよいよアニメにしていくわけですが、作画には大きく三段階に分けることができます。

 

第一段階は、カットごとにコンテの意図をくみ取って、そのカットの映像の完成形を設計するレイアウトです。レイアウトは単純に絵の構図や空間情報を作るだけではなく、最終的にパソコン上で行うカメラワークの付与や効果処理など映像の最終的な形を考える必要があります。

 

第二は原画で、動きのキーポイントを描きます。また、実際にはレイアウトの段階でされることもありますが、キャラデザになるべく似せて描くようにします。

 

第三の動画で原画動きの間を「割る」、すなわち補完する作業をするわけですが、原画・動画の区別は自主制作なのであまりきっちり区別されているわけではありません。(CACCでは線を整える工程が「トレス」として動画から分離されています。)

 

レイアウトはコンテ作成者が演出の確認を、原画・動画は作画監督が確認をします。



トレス

動画・原画をスキャナーで取り込み、デジタルの線でなぞっていきます。すこし前まではライトボックスで紙に線をなぞり、それをスキャンして二値線化するという手順でしたが、作業が完全にデジタル化されました。

 

映像になっても黒線のまま残る線を実線、影やハイライトなど色の塗り分る境界線をトレス線と呼び、トレス線は彩色のあとは残りません。

 

1枚目はClipStudioPaintによる作業風景。

2枚目はスキャンした画像。

3枚目はトレス後の画像。



彩色

トレスで整えられた実線とトレス線と、キャラデザの色指定を参照して、色を塗り分けていきます。アニメ用語では仕上げと言われるますが、アニ研ではなぜか彩色(さいしき)と呼ばれています。Retas Studio Paintman という専用のソフトを使用してデジタルで行われます。過去作品をみると、2000年ごろからデジタルに移行したようです。塗り残しや塗り間違いがないように注意深く作業していきます。



美術

レイアウトをもとにして背景画を描く作業です。最初に作った設定画などを参考にしながら、これも作画におけるキャラデザと同様に、雰囲気を統一することが図られます。

 

現在ではすべての美術はデジタルで描いています。使われるソフトはClipStudioPaint、SAI、Photoshopなどです。

 

工程として美術はレイアウト以降、作画と並行しながらも分離します。またデジタルということでカット袋で管理しないのでクラウド上でデータのやり取りや進捗管理を行う態勢ができています。



撮影

 

動画の彩色済みデータと背景美術をソフト上で合成して、カメラワークや色調補正・ライティングを施していきます。カットによってさまざまなエフェクトを加えることもあります。特に光の表現は、加工前と加工後でかなり画面の完成度が違ってくるのでおもしろい作業です。

 

シーンごとに美術設定とキャラデザなどを使い、あらかじめ効果処理の数値を規格してテンプレートファイルを作ることで、イメージ統一と効率化をはかるということもなされています。作業にはAfter Effectsを使用しています。

 

1枚目は作業風景。

2枚目は撮影後。

3枚目は素材を合わせただけの状態。

4枚目は3枚目の撮影後。



音楽・音響

 

アニメーションには映像とともに、BGMや効果音などの「音」の存在は欠かせません。CACCでは共同制作など作品によっては、音楽や効果音も独自に作っています。CACCの作品を観る機会がありましたら、これらの「音」にも注目してみてください。

 

1枚目は音楽制作の作業風景。

2枚目は効果音を録音している様子。



声の収録

キャラクターに命を吹き込む声を収録します。作品によって違いますが、プレスコが多いです。(先に声を収録して絵で合わせる。)

 

コンデンサマイクをミキサーやオーディオインターフェイスを介してパソコンに接続し、Audacityというフリーソフトで録音をしています。ノイズ処理もこのソフトが使われます。

 

声優は、会員以外の外部から募集することもあります。



編集

映像、キャラクターボイス、BGM、SE等を合わせ、カットの長さを整えるなどして作品全体のテンポを最終調整していきます。この作業は、主に作品の監督と音響担当、撮影担当が最後の仕事をするところです。ソフトはPremiereを使用しています。

 

この作業が終了してレンダリング(出力)すれば作品が完成となります。